自衛隊なら中卒でも入隊できるって本当なの?
中卒が一発逆転を狙う道の一つとして、「公務員になる」という選択肢があります。
その中でも中卒の学歴のまま目指すことができる「自衛隊」に興味を持つ方は多いのではないでしょうか。
今回の記事では、中卒で自衛隊への入隊を目指すことの本当の意味や、実際に自衛隊に入隊するための方法などについて解説します。
合わせて、自衛隊以外の選択肢についても触れていますので、ぜひじっくり考えてみてくださいね!
中卒で自衛隊を志望する方が考える本当の動機2パターン
動機1:他人に言っても恥ずかしくない職種だから
「仕事は何をしてるの?」と人に聞かれて「自衛隊だよ」と答える自分をイメージして、「なんとなく印象が良いしかっこいい」と思う方も多いのではないでしょうか。
確かに、自衛隊のイメージは「安定の公務員、かつ体を張ったかっこいい仕事」かもしれません。
ですが、本当に自衛隊の仕事内容や仕事環境について正しく理解しているかは疑問ですね。
「他人に言っても恥ずかしくない職種」であるという理由で自衛隊を目指す人ほど、他の仕事(民間企業への就職など)について全くと言っていいほどリサーチができていない場合が多いです。
動機2:強い自分を目指しているから
自衛隊といえば「強くたくましいイメージ」を持っている人が多いもの。
「強い自分になりたいから自衛隊員になる!」という動機で自衛隊への入隊を決意する人も多いです。
だからこそ、「強くなって見返してやる」という思いが強くなる傾向にあるとも言えます。
動機として間違っているとは言いませんが、強い自分を目指すために自衛隊を志望する人は、実のところ要注意!
なぜなら、強さを求める裏側には「絶対にくじけてはならない、完璧にやってのけるんだ!」という極端な意地やプライドがあるからです。
自衛隊入隊後には、予想通り厳しい訓練が待ち受けています。
そこで意外にも最もメンタルをやられてしまいやすいのが、「強さに執着する人」です。
この類の人は「自分が壊れないようになるべくバランスを取る」ことを忘れがち。
気づけばやり込みすぎて、身も心もボロボロになってしまい職場にいられなくなるケースもあり得ます。
中卒で自衛隊の入隊を志望する前に知っておくべきパワハラ問題
調べてみると山のように出てくる自衛隊のパワハラ問題。
これから中卒で自衛隊を目指す方には、「自衛隊員の中で実際に起こったこと」として知っておく必要がありますね。
例えば以下はごく最近のニュース。2021年12月に報道されたものです。
陸自・朝霞駐屯地、女性の幹部自衛官を停職処分
陸上自衛隊朝霞駐屯地は17日、部下にパワーハラスメントをして精神疾患を発症させたとして、同駐屯地陸上総司令部の女性の幹部自衛官を停職6カ月の懲戒処分にしたと発表した。
同駐屯地によると、女性幹部は昨年11月ごろから今年5月ごろ、当時所属していた部隊の事務室で、部下の隊員に職務指導に絡み大声を出すなどの威圧的な言動を継続的に行ったり、隊員の人格を否定する発言を繰り返した。隊員は精神疾患を発症した。言動を聞いていた所属部隊の別の隊員が今年6月、上司に報告して発覚。女性幹部は「パワハラに関する認識が甘く、部下隊員を深く傷つけたことを非常に反省している」と話しているという。
引用:Yahoo!ニュース
また、2015年にパワハラから自殺してしまった陸上自衛官の件に関する裁判も2021年12月に判決がでたばかり。少し長いですが参考までに読んでおいてください。
陸自パワハラ自殺めぐる訴訟 熊本地裁
自殺した陸上自衛官の遺族が、教官の指導が自殺の原因だったとして、国と当時の教官2人に計約8100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、熊本地裁であった。中辻雄一朗裁判長は違法な指導があったと認め、国に計220万円の支払いを命じた。
判決は一方、教官の指導は2日間のみで自殺の予見はできなかったとした。教官2人への請求については、公務員の職務上の行為だったとして退けた。
判決後に会見した原告側の板井俊介弁護士は「死亡に対する責任を否定した判決。原告としてはその点を絶対に許すことができない」と話し、控訴する意向を示した。被告側の陸自西部方面総監部広報室は「判決内容を精査しているため、回答は差し控える。判決を受け止め、パワーハラスメントなど同種事案の再発防止に努めていく」とコメントした。
自殺したのは陸上自衛隊西部方面隊に所属した男性陸士長(当時22)。2015年10月、陸曹に昇進するため教育隊に入隊し、約3カ月間教育を受けることになった。入隊から間もない同月7日に自殺。両親が19年7月に提訴していた。教官2人は既に停職の懲戒処分を受け、自殺は公務災害に認定されている。
判決によると、男性教官の一人は15年10月6日夕、男性の胸ぐらをつかんだ。別の男性教官はそれを知りながら放置し、同日夜に男性に対し「お前のようなやつは殺してやりたいくらい」と発言した。
引用:朝日新聞digital
22歳の若さで自殺してしまった自衛隊員。
もちろん、この方の人柄や日々の勤務態度などに関してはわかりません。
しかし、「死んだ方がマシ」だと思わせるほどの環境というのは、はっきり言って「異常」です。
自衛隊に入れば必ずパワハラやいじめの被害に遭う、とまで言いませんが、このようなことが実際に起こっている世界であることを知った上で入隊する必要はあるでしょう。
中卒こそIT系の仕事を選択肢に入れるべき2つの理由
でも、良いことばかりではないかもしれないことは十分に理解いただけたはず。
ここからは、ガラリと視点を変えて「中卒でIT系の仕事をする」選択肢について考えてみましょう。
実は、中卒の方にこそIT系の仕事を検討する明確な理由が2つあります。
ここでは、その2つの理由についてそれぞれわかりやすく解説していきましょう。
今は、副業が当たり前にできる時代だから
副業を始めるにあたり、最も手堅く稼げるのはIT系の仕事です。
あなたもきっと「副業ワーカー」などの言葉を耳にしたことがあるはず。
今の時代、副業をすることは決して特別なことでなく「当たり前」になりつつあります。
なぜ副業をする人が増えているのか、その答えはシンプルに「生活に余裕が欲しいから」、「もっと稼ぎたいから」でしょう。
コロナ禍でこれまでの「会社員=安泰」の常識は覆されました。
突然の給料カットや解雇など、会社員でも「明日はどうなるかわからない」不安を感じる世の中になってしまいましたよね。
ここで、実際に副業をする人がどのくらいいるのかをデータで紹介しましょう。
▼副業・複業ワーカー人口推移
見ての通り、副業人口は2021年に104万人増加しているというデータ。
2020年まではなだらかな下り坂でしたが、ここへきてまた副業人口が跳ね上がっています。
副業にはさまざまなジャンルのものがありますが、やはり最も副業として始めやすいものといえばWeb系の仕事。
場所を選ばず隙間時間に副収入をコツコツと増やせるWeb系の副業は、男女を問わずかなり高い人気を集めています。
将来的な安定とは『選択肢が多い』ということだから
中卒でも将来的にしっかりと安定収入を得たいと思うなら、「何が起こってもどうにか収入を生み出せるスキル」が必要です。
IT系の仕事で得たスキルは、汎用性が高く、今後さまざまな状況であなたの収入に繋がります。
例えば、IT系の民間企業に勤めてスキルを身につけたのちに、なんらかの理由で転職せざるを得なくなったとしましょう。
この場合、選択肢としては以下の2つが考えられます。
- 同じIT系の企業に就職する
- 独立・起業する
辞めてしまったらもう他に方法がない、という事態に陥ることがまずないのがIT系の仕事をする大きなメリット。
このように、あなたには常に「選べる選択肢がある」ため、精神的に追い詰められることがありません。
「もし今の仕事を辞めたら次の仕事もきっと見つからないし、何のスキルもない」という状況に陥ると、当然その毎日はストレスの溜まるものになるでしょう。
「我慢」や「極度のストレス」に耐えながら毎日をやり過ごすうちに、メンタルをやられてしまい本当に働けなくなってしまう可能性もゼロではありません。
IT系のスキルを持っているというだけで、あなたの人生の選択肢は比較にならないほど増えるのです。
中卒で自衛隊に入隊する方法(高等工科学校への入学方法)
1.高等工科学校への入校が必要だと知る
中卒で自衛隊への入隊を目指す場合には、まず高等工科学校へ入学する必要があります。
高等工科学校とは
- 将来自衛官になる人たちを養成するための陸上自衛隊の学校
- 全寮制、3年間を駐屯地で生活することが決められている
- 課程終了と同時に高卒資格を取得できる
- 自衛隊を目指すための最短ルート
- 特別職国家公務員「自衛隊員」扱い
- 在学中は生徒手当が受給できる
注目すべきは、高等工科学校に入学し卒業することで「高卒資格」が取得できること、そして在学中は生徒手当も受給できることですね。
高等工科学校は、普通の高校などとは全く別物であることを理解しておきましょう。
2.応募資格を確認する
高等工科学校の応募資格については、以下の通りとなっています。
【推薦】
中卒(見込含)17歳未満の男子かつ学校長の推薦必要
【一般】
中卒(見込含)17歳未満の男子
つまりは、一般試験の方であれば学校長の推薦なども不要で、誰にでもチャレンジできるということになります。
ちなみに、令和4年4月に入隊する場合の試験概要は以下の通り。
受付期間 | 推薦:令和3年11月1日(月)~12月3日(金) 一般:令和3年11月1日(月)~令和4年1月14日(金) |
試験科目 | 口述試験、筆記試験(作文を含む。)及び身体検査 |
試験日程 | 推薦:令和4年1月8日(土)~11日(火)までの間の指定する1日 一般1次:令和4年1月22日(土)・23日(日)のいずれかの指定する1日 一般2次:令和4年2月3日(木)~2月6日(日)までの間の指定する1日 |
合格発表 | 推薦:令和4年1月20日(木) 一般1次:令和4年1月28日(金) 一般最終:令和4年2月17日(木) |
毎年11月から1月半あたりまでの受付期間、試験は1月下旬にスタートしているのが特徴です。
案外ギリギリまで申込みができるのは嬉しいポイントですね。
3.入学試験の対策方法を把握する
高等工科学校に入学するためには、当然入学試験に合格する必要があります。
しっかり時間をかけて試験勉強をし、十分に対策した上で試験を受けるようにしましょう。
- 過去問を購入する
高等工科学校 2021年版【2017〜2021年実施問題収録】自衛官採用試験問題解答集7」 - 過去問を解いてみる
難易度を体感的に理解、このとき時間は気にしなくて良い - 採点し苦手・得意科目を把握して対策する
基礎からの知識のインプット
苦手科目は重点的に復習を繰り返す - 制限時間内に全ての問題を解いてみる
時間配分を考えながら解く - ②から④を繰り返し行う
おおよそ2週間サイクルで「過去問→試験対策」を繰り返す
一般的な高校入試、大学入試と変わらない流れですね。
高等工科学校の試験では、毎年似たような問題が出されているので、とにかく「過去問をひたすら解く」ことが大事です。
中学卒業後、高等工科学校に入学してからの生活
ここでは、実際に高等工科学校に入学したらどのような生活が待っているのか説明していきますね。
高等工科学校在籍中に毎月得られる給与
高等工科学校は、学校なのですが在学中から「生徒手当」を受給できるのが大きなポイントであり魅力でもあります。
ここでは、「生徒手当っていくらほどもらえるの?」と気になっている方に向けて、高等工科学校在学中に得られる手当の金額に注目してみましょう。
では、まず高等工科学校在籍中に得られる給与をみていきましょう。
- 月額支給額 103,700円(令和2年1月1日現在)
- 年2回のボーナスあり(金額不明)
ボーナスの金額については不明なのですが、月額の支給額だけで計算しても1年で1,244,400円(103,700円×12ヶ月)は保証されていることになります。
3年間在学すると考えるとこの3倍、3,733,200円(1,244,400円×3年間)が在学中に受け取れる金額となります。
どんな科目を学ぶのか
高等工科学校で学べる科目についても紹介しておきましょう。
高等工科学校では、国語数学などの一般教育の他、自衛隊ならではの専門性の高い教育を受けることができます。
- 一般教育
国語・社会・数学・英語など普通高校と同じカリキュラム - 専門教育
車両・通信電子機器・火器および航空機などについての専門的知識や技能を身につけるための教育 - 防衛基礎学
法令等を学ぶ「服務及び防衛教養」・野外における基礎的な行動を学ぶ「戦闘及び戦技訓練」を含む教育
専門教育、防衛基礎学のジャンルは普通の高校や大学では学ぶことのない内容。
これから自衛隊員として働く上で必要な知識をしっかり学んでいくことができます。
部活動はあるのか
高等工科学校には、かなりたくさんの種類の部活動があり、勉強以外にもスポーツや文化系のアクティビティに励むことができます。
高等工科学校の部活動を一覧にして紹介しておきましょう。
- 特定クラブ
ドリル・吹奏楽・和太鼓 - 体育クラブ
ラグビー・レスリング・カヌー・空手・アーチェリー・水泳・野球・剣道・柔道・陸上・バレーボールなど - 文化クラブ
軽音楽・茶道・書道・写真・美術・囲碁将棋・防衛研究・吟詠尺八・弁論・コンピュータなど
いわゆる、よくありがちな野球や水泳、陸上などの部活動はもちろんのこと、ちょっと珍しい和太鼓や弁論、カヌーなどの変わり種もあります。
自衛隊員になる上で必要なこと以外にも、幅広いジャンルに渡り知識や経験を積んでいけるのが高等工科学校の良さでもありますね。
まとめ
今回の記事では、中卒で自衛隊になる選択肢について解説しました。
自衛隊員になるためには高等工科学校への入学が必要なこと、そのためにどのような勉強をすればよいかも理解いただけたのではないでしょうか。
最後にもう一度言いますが、「なんとなくかっこいいから、強いイメージだから」という理由で自衛隊を志望するのはおすすめできません。
あなたがもし、「中卒でも高収入を稼げるようになりたい」ということだけを考えているのであれば、IT系の仕事も視野に入れてもう一度検討してみましょうね!
本記事を担当しているイケベです。
中卒でも自衛隊に入隊することは可能!
ですが、中卒で自衛隊員を目指すなら知っておくべきデメリットもあります。