中卒でも弁護士になれるのだろうか・・?
そんな疑問を抱える方にまずお伝えしたいのは、「中卒で弁護士になることは可能!」ということ。
中卒で弁護士を目指すことは決して簡単なことではありません。
この記事では、中卒で弁護士を目指す具体的な方法について解説しています。
あわせて、中卒で弁護士を目指すメリット・デメリット、さらには弁護士以外の選択肢についても紹介します。
中卒だけどこれから一発逆転を狙いたい!という方に、ぜひ読んでいただきたい内容です!
中卒で弁護士になる2つのルート
ここでは中卒で弁護士を目指す2通りの方法についてくわしく説明しておきましょう。
まず、大前提となるのが「弁護士になるためには司法試験に合格しなければならない」という点。
つまり、司法試験を受験しないことには何も始まりません。
ちなみに、司法試験の難易度についてもここで触れておきましょう。
▼司法試験合格率の推移
出典:日本弁護士連合会
直近で見ると33〜39%くらいですね。高くもありませんが気が遠くなるほど低い数値ではありません。
この司法試験にチャレンジするためには、まず受験資格を満たさなければなりません。
司法試験の受験資格を満たすには、以下の2つのうちどちらかのルートを選択する必要があります。
- 司法試験予備試験に合格する
- 法科大学院(ロースクール)を修了する
では、それぞれの方法についてさらにくわしく見ていきましょう!
1.司法試験予備試験に合格する
司法試験の受験資格は、司法試験予備試験に合格することで得られます。
司法試験予備試験はその名の通り、司法試験を受ける一歩手前の予備試験。
法務省のホームページには以下のように記載されています。
司法試験予備試験は、法科大学院を経由しない者にも法曹資格を取得する途を開くために設けられた試験で、これに合格した者は,法科大学院修了者と同等の資格で司法試験を受験することができます。
要は、法科大学院を経由せずに司法試験の受験資格を得られるのが「司法試験予備試験」の最大のメリット。
この後に法科大学院経由の方法も紹介しますが、司法試験予備試験合格を目指す方がスピーディでおすすめです。
司法試験予備試験は本番の司法試験とかなりよく似ており、内容の大部分は重複しています。
▼司法試験予備試験と司法試験の内容比較
予備試験 | 司法試験 | |
試験構成 |
|
|
憲法 | ○ | ○ |
行政法 | ○ | ○ |
民法 | ○ | ○ |
商法 | ○ | ○ |
民事訴訟法 | ○ | ○ |
刑法 | ○ | ○ |
刑事訴訟法 | ○ | ○ |
選択科目 | ー | ○ |
法律実務基礎科目 | ○ | ー |
一般教養 | ○ | ー |
このように、内容はほぼ変わりありません。
予備試験に合格するための受験勉強をすることで、司法試験の対策にも十分つながります。
しかし、ここで気になるのが「司法試験予備試験の難易度ってどうなの?」という点。
実は、予備試験の合格率は毎年3〜4%を推移しており、決して高くはありません。
▼予備試験合格者推移
毎年1万人を超える受験者がいて、そのうち合格しているのはわずか400名ほど。
「じゃあ予備試験の方が司法試験よりも難しいってこと!?」
と思った方も多いでしょう。しかしそう単純なことでもありません。
なぜなら、司法試験予備試験は誰でも受験することができるからです。
そのため、受験者の母数が大きくなりやすく、合格率はが下がってしまっているとも言えます。
2.法科大学院(ロースクール)を修了する
司法試験の受験資格を満たすもう一つの方法は、法科大学院を修了することです。
修了するまでの期間は、法学部卒業者で2年間、それ以外は3年間となります。
法科大学院については、文部科学省のホームページに以下のように書かれています。
高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培うことを目的とする専門職学位課程のうち専ら法曹養成のための教育を行うことを目的とするものを置く専門職大学院(専門職大学院設置基準第18条第1項)であって、法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とするもの(法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律第2条第1号)
少しわかりづらいところもあるかと思いますが、要は法科大学院は「大学院」のカテゴリーに分類される点が重要なポイント。
大学院に進学するには、当然大学卒業の資格が必要となります。
この時点で、中卒にとって法科大学院経由のルートが現実的でないのはお分かりですね。
- 大卒資格を得る
(高卒認定取得後大学へ入学し卒業) - 大卒同等の能力を証明する
(TOEICスコア一定数以上、予備試験の短答式試験に合格など)
どちらもすごく大変な上期間もかかるため、これ以上の説明はやめておきますね。
このように、法科大学院を修了することで司法試験の受験資格はGETできますが、期間が何年もかかる可能性があることや、難易度が高いため中卒の方にはおすすめしません。
司法試験合格後の司法修習とは
しかし、司法試験に合格するだけですぐに弁護士になれるわけではありません。
ここで司法試験合格後のステップ「司法修習」について解説しましょう。
司法試験に合格したら、その後は「司法修習生」として1年間の「司法修習」を受ける必要があります。
裁判所のホームページには、司法修習生について以下のような説明が掲載されています。
司法修習生は,司法試験に合格した人の中から,最高裁判所が命ずることになっており(裁判所法第66条),少なくとも1年間の修習をした後,試験に合格すると司法修習を終え(裁判所法第67条第1項),裁判官,検察官,弁護士になる資格を得ることになります。
引用:裁判所ホームページ
1年間さらに勉強したのち、また試験(「考試」と呼ばれます)を受けて合格すればやっと「弁護士」になれるというわけですね。
ここで、弁護士になるまでの流れを再度まとめておきましょう。
- 司法試験予備試験に合格
- 司法試験に合格
- 司法修習1年間を修了
- 試験(考試)に合格
- 弁護士資格を得る
ちなみに、考試の合格率はかなり高く、不合格になるのは毎年おおよそ3%程度。
これまでに勉強したことをしっかりと生かして試験に臨めばまず問題ありません。
とは言え、弁護士資格を得るまでなかなか長い道のりですね。
法律事務所だけじゃない!弁護士の主な就職先
ですが、弁護士の就職先は意外にもかなり幅が広く、選択肢が多いのが特徴です。
それでは、ここで弁護士の主な就職先として考えられるものを一覧にまとめてみましょう。
- 法律事務所
(大手法律事務所、個人法律事務所など) - 一般企業
(企業内弁護士・インハウスなど) - 検事
- 裁判官
- 中央省庁
- 地方公共団体
- 法律学者
以上はあくまでも一例です。
弁護士資格を持つことで、できることは相当増えます。
法律事務所だけでなく、一般企業で法的なアドバイスや契約書のチェックなどを行うことも可能。
また、弁護士業と並行して、弁護士を目指す学生向けの教育を行うケースもあり、働き方にはさまざまなものがあります。
中卒で弁護士を目指すメリットとデメリット
ここでは、中卒で弁護士を目指すメリットとデメリットについて代表的なものを挙げて解説していきましょう。
中卒で弁護士を目指すメリット
中卒で弁護士を目指すメリットは、「社会的信用が上がる」ことと「収入が上がる」ことの2つ。
細かく挙げればキリがありませんが、最も大きなものが上記の2つでしょう。
それぞれのメリットについて解説します。
社会的信用が格段に上がる
弁護士になるメリットとして挙げられるのが、「社会的信用が格段に上がる」点です。
中卒というだけで、周りから下に見られたり、差別を受けたりと辛い経験をしてきた方は少なくないでしょう。
弁護士になることができれば、もはや中卒など関係ありません。
仮に「あの人は弁護士だけど学歴は中卒らしいよ」と噂されたとしても、誰もが「中卒で弁護士になったなんてすごい!」とヒーローを見るまなざしであなたを見るでしょう。
弁護士がどうすごいのか細かい点について知らない人は多いです。
ですが、「弁護士」という言葉の響きだけで「弁護士=すごく偉い人」のようなイメージを抱く人は実際たくさんいます。
収入が上がる
弁護士になれば収入がUPする点も、メリットのひとつです。
弁護士と言えば高収入なイメージを多くの人が抱いていますが、これは間違いではありません。
実際に弁護士の収入がどのくらいなのか、データで確認してみましょう。
▼申告した収入額(年間)
回答数 | 割合(%) |
---|---|
1000万円未満 |
20.5%
|
1000~2000万円未満 |
18.0%
|
2000~3000万円未満 |
13.3%
|
3000~4000万円未満 |
10.8%
|
4000~5000万円未満 |
6.3%
|
5000~6000万円未満 |
5.0%
|
6000~7000万円未満 |
2.6%
|
7000~8000万円未満 |
2.4%
|
8000~9000万円未満 |
1.7%
|
9000万~1億円未満 |
1.1%
|
1億~1億1000万円未満 |
0.9%
|
1億1000万~1億2000万円未満 |
0.7%
|
1億2000万~1億3000万円未満 |
0.5%
|
1億3000万~1億4000万円未満 |
0.4%
|
1億4000万円以上 |
2.1%
|
無回答 |
13.7%
|
上記の通り、弁護士で年収が1000万円を超えていない人の割合は20%ほど。
裏を返せば8割の弁護士が年収1000万円を超えていますし、約48%が年収3000万円以上!
弁護士の収入は本当に高く、世間一般で言うところの「金持ち」に該当する人がほとんどです。
中卒で弁護士を目指すデメリット
中卒で弁護士になるデメリットは、「弁護士になるまでが大変」であること、そして「弁護士だからと言って確実に安泰とは言えない」点にあります。
それぞれのデメリットについてさらにくわしく解説しましょう。
弁護士になるまでの道のりが長い
中卒で弁護士を目指すには、ここまででお伝えした通り相当な勉強量が必要です。
しかも、予備試験、司法試験に合格してもさらに1年間は司法修習。
弁護士を目指すと言ってもその道のりはあまりにも長く、さらに怖いことに「確実に弁護士になれる」保証はどこにもありません。
中には弁護士を目指して何年も勉強したけれど、結局何度も試験に落ち続けて最終的にあきらめた人もたくさんいます。
100%安泰とは言えない
確かに弁護士になることができれば、その先には高収入・ハイステータスなど「成功」の二文字が待っているように見えます。
ですが、必ずしも弁護士として成功できるとも言えない点は、弁護士を目指すデメリットとも言えます。
弁護士の数は年々増えていることが以下の統計で明らかになっています。
▼弁護士数の推移
2010年あたりから一気に弁護士数が増えているのがお分かりでしょうか。
弁護士の数が増えているということは、それだけ案件ごとの競争率が激しくなるのは想像に難くありません。
弁護士を必要とする事例がなくなることはありませんが、弁護士が多くなりすぎると弁護士同士の競争を勝ち抜くスキルが必要なのは明白ですね。
高収入を目指すなら検討すべき弁護士以外の道
ここで、弁護士とは全く別の選択肢についても紹介しておきましょう。
まず、中卒が高収入の仕事に就くことが難しい理由について考えてみましょう。
その理由は、高収入の職種や企業を希望していても、学歴が理由で就職できないからですよね。
しかし、ここでひとつ目を向けていただきたい業界があります。
それはずばりIT業界。
IT系の会社は、ITスキルや実績を重視する傾向が強く、学歴をそれほど重視しない傾向にあります。(もちろん全てではありませんが)
つまり、中卒が一発逆転するのに適した業界がIT業界とも言えるのです。
ですが、スキルは今からでも積み上げることが可能です。勉強さえすれば!
ここでおすすめしたいのが、「中卒のまま就活に挑むのではなく、まずは勉強してスキルを身につけてから高収入の仕事にチャレンジする」方法。
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中卒から弁護士になった大平光代さん
大平光代さんが弁護士になるまでの経緯
大平さんが弁護士になるまでの経緯は非常に波瀾万丈。
そもそも、中卒の学歴になってしまった理由は「いじめ」だった大平さん。
自殺を試みるまでに精神を病んでいたそうです。
そこからなんとか持ち直した大平さんですが、16歳で結婚21歳で離婚というこれまたキツい経験をしてしまいます。
大平さんが一気に前進し始めたのはこの離婚の後でした。
22歳で国家資格の難関と言われる宅建士の資格取得に成功。
その後司法書士、司法試験に合格します。
司法試験を目指す人が宅建士の資格をまず取得するというのは珍しい話ではありません。
「法に慣れる」という意味では、非常に理に適った道筋です。
弁護士資格を取得した大平さんは、これまでの辛い人生経験を糧にして、教育関係の場で主に活躍されています。
大平光代さんに学ぶ勉強法
大平さんは自身がこれまでに試した勉強法を世の中に向けて発信してくれています。
効率的に学ぶためには、「基礎からしっかり学ぶことが大事」であると大平さんは言います。
結局は近道など存在せず、コツコツと基礎から固めていくことで、最終的な目標に辿り着くというのが大平さんの考え方。
それでは、最後に大平さんが資格試験の際に活用していた勉強法を紹介しておきましょう。
集中力の高め方
集中力を高めるために大平さんが実際に意識していた流れがこちらです。
- 何もかも一度で済ませようとしない
- したいことを全部紙に書く
- 書き出したものに優先順位をつける
- 一番したいことが決まったら、それをするためにはどうすればよいのかを考え紙に書く
- それをするのに必要なものだけをそろえる
- 必要なもの以外は視界に置かない
- 無理な計画は立てない
どうでしょう。
これなら自分にも真似できそう!と感じた方も多いのではないでしょうか。
とにかく無理をしない、ひとつずつ丁寧に確実にこなす、というのが大平さんスタイルですね。
効果的な暗記方法
資格試験でとても大事なのが暗記。
覚えることが膨大な資格試験において、大平さんは2つのポイントに意識して暗記に取り組んでいたそうです。
- 繰り返す
- 関連づけて覚える
とてもシンプルですよね。
繰り返し行うことで強く記憶に残るのは確かですし、関連づけて覚えることで理解が深まるのも納得。
特に、司法試験においては関連づけて覚えることがとても重要なカギとなります。
専門用語一つを単一で覚えるのではなく、その用語に絡めて他の用語も併せて覚えていけば効率も理解力も上がります。
まとめ
今回は、中卒で弁護士を目指すことにフォーカスしてみました。
中卒で弁護士になることは、結論から言うと簡単なことではありませんでしたね。
ただ、弁護士になるメリットは大きいですし、中卒の学歴を挽回する意味でも弁護士になる道は確かに目指す価値があると言えます。
中卒でも成功するためには、弁護士になる以外にも道があることを頭に置き、本当にあなたにとって選ぶべき道をじっくりと見極めましょう。
弁護士と言えば高学歴なイメージを抱きがちですが、実際中卒でも弁護士を目指すことは可能です。
今回は、中卒で弁護士を目指す方法について解説していきましょう!